「もう犬は飼えない」と思った私が、もう一度出会った“最高”の相棒


「先住犬を亡くした時、もう犬は飼えないと思いました。」

そう話してくださったのは、湘南にお住まいの山田庸子さん。
長年連れ添った愛犬・チョコマロンちゃん(プロットハウンドと紀州犬のミックス)を17歳7ヶ月で看取り、その後3年間、犬のいない生活を送りました。


「あの子以上の存在は、もう現れない」
本気でそう思っていたといいます。

けれど今、庸子さんの隣には、甘えん坊のグレートデンの男の子・おでん君がいます。

山田おでん君
犬種:グレートデン
年齢:推定4歳
出会い:2024年12月4日
お迎え:paws adoption かながわ


最高のパートナーだった先住犬のチョコマロン

人も犬も苦手だったチョコマロンちゃんとは、ふたりで山に入り、誰もいない場所を歩くのが日課でした。「右へ、左へ」と声をかければ庸子さんの言葉に反応してすっと動き、「戻れ」と言えば必ず戻る。言葉を超えて通じ合える、最高のパートナーでした。

17歳7ヶ月まで生き晩年は寝たきりになりましたが、庸子さんは「介護の時間も幸せだった」と振り返ります。元気な時は抱っこもさせてくれなかった誇り高い子が、最期は身を委ねてくれた。長い介護の間も床ずれひとつ作らずお世話をした日々は、深い愛情の証でした。

山をともに歩き、老いもともに受け止め、最期まで向き合った時間は人生の一部そのもの。
「あの子以上の犬はいない」と思ってしまうのは、比べようのない年月を重ねたからこそでした。


悲しみのあとに選んだ、ボランティアという一歩

チョコマロンちゃんを見送った後「もう犬は飼えない」と思っていた庸子さん。それでも、犬のいる世界から離れることはできませんでした。それなら、今自分にできることをしよう――そう思って始めたのが保護団体のボランティア。そこで出会ったのが、当時推定3歳のおでん君でした。

超大型犬と言われるグレートデンなのに、レスキュー時におでん君が暮らしていたのは隣家との壁の間のわずか幅80センチ奥行き2メートルほどのスペース。散歩もなく、外飼いで3歳まで過ごしていました。

おでん君をレスキューするなら、しっかりと受け入れ準備を整えてから。

庸子さんはそう決め、大工さんを呼んで自宅の車庫に四畳半の犬小屋を作りました。フェンスを立て、クレートとクッション、水飲みも用意して。

「ボランティアの立場でしたけど、私は預かりと思ってやっていなかった。どうせ預かるなら、誰よりも幸せな預かり犬にしてあげようと思ってました。」

庸子さんのもとに来て、初めて散歩に出たおでん君。

「最初の散歩で、地面に映った“自分の影”にびっくりしてたんです。」

狭い場所に閉じ込められていたから、今まで自分の影すら見たことがなかったのかもしれません。驚くおでん君の姿を見たとき、胸がぎゅっとなった庸子さん。

はじめは預かり犬としてやってきたおでん君でした。けれど「あまりにも可愛すぎて」と笑う庸子さん。気づけば離れるという選択肢はなくなっていました。預かり開始から約4ヶ月後、おでん君は正式に“うちの子”になりました。


走れなかった犬が、走る喜びを知る

保護当初、おでん君は筋肉がほとんどなく、走ることも上手ではありませんでした。あまり歩いていないから肉球もツルツルで柔らかく、少し長く歩いただけで擦りむけてしまうほど。

庸子さんは近所を歩くことからスタートし、少しずつ距離を伸ばし体を慣らすことを続けました。そうやってだんだんと長い散歩ができるようになったおでん君。今では、庸子さんとともに海岸沿いの散歩を日々楽しんでいます。

犬も人も大好きなおでん君は、お散歩もドッグランも大好きです。

「私が一番楽しい時は、おでんが気持ちよく走ってる時かな。楽しく走ってる姿を見ている時。」

最初は走り方もわからず、ぴょんぴょん跳ねるようにしか動けなかったおでん君。今は、カッコよく走れるようになりました。


「最高」はひとつじゃない

先住犬のチョコマロンちゃんは、山を共に歩く最高のパートナーでした。一方、おでん君は真逆のタイプ。犬も人も大好きで、めちゃくちゃ甘えん坊。立派なマズルを持っているのに、ノーズワークはなぜか苦手。

「鼻で探せばいいのに、一生懸命目で探すんです(笑)」

まったく違う個性、まったく違う関係性。
でも庸子さんは言います。

「チョコマロンよりすごい子はいない。それはその通りです。でも、おでんにはおでんの最高の良さがあるんです。ベクトルが全然違う。“最高”ってひとつじゃないんです。」

犬が変われば、幸せの形も変わる。だからこそ、新しい出会いは新しい最高を連れてくるのだと。

二桁の長生きを目指して

グレートデンの平均寿命は8年前後ともいわれます
おでん君は現在4歳。そろそろシニアといわれる年齢です。

「二桁生きるのが目標です。」

お腹が弱かったおでん君のために食事を学び、手作りも取り入れる。
筋肉を落とさないために日々の“筋肉貯金”を意識する。
3歳まで十分な運動ができなかった分、今からできることを積み重ねていく。
それが庸子さんの覚悟です。


これから保護犬を迎える人へ

「チョコマロンを看取った時、もう最高の犬生は終わったと思っていました。」
でも現実は違いました。
“最高”は、また別の形でやってきたのです。
最初は預かり犬として迎えたおでん君が、今では庸子さんの最高の相棒となりました。

「保護犬との暮らしには、すごい醍醐味があるんです」と庸子さんは言います。
「自分が里親になって、どれだけその子にいろんな経験をさせてあげられるか。その子にとってどれだけ幸せな経験をさせてあげられるかっていう醍醐味です。」

最初は走ることもできなかったおでん君。
ぴょんぴょん跳ねるだけだったあの子が、今は海で気持ちよさそうに走っています。
そして夜になると、「ヨーコ。一緒に寝ようよ」と体中で甘えてくる。

「幸せです。本当に幸せです。本当にこの子が来てくれてよかった。」

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